あまりんの先へ。埼玉県イチゴ育種の現在地
2025年12月18日(木) 晴れ。
今年最後の座学の日です。
1限目の作物育種は「埼玉県におけるイチゴ育種について」。

スライドに並ぶ「かおりん」「あまりん」「べにたま」。
正直なところ、講義を聞きながら「クリスマスはイチゴ食べたいな…」という気持ちも同時進行。
育種の話なのに、しっかり食欲まで刺激してくるあたり、あまりんはやはり只者ではありません。
今回の講義で印象に残ったのは、埼玉県のイチゴ育種が
「目標設定 → 方法 → 選抜」という、非常にロジカルなプロセスで積み重ねられてきたこと。
良食味、多収性、耐病性、省力性――全部ほしい。でも、全部は一度に手に入らない。
だからこそ交雑と選抜を何年も繰り返し、品種登録までに6〜10年以上をかけて育てていく。
その時間の重みが、あらためて実感できました。
また、「あまりん」以降の新品種開発が難しくなっている理由も興味深い点でした。

完成度の高い品種が基準となり、それを超える価値が求められるため、
次の一手にはより高いハードルが課される。
これは農業の話でありながら、商品開発やブランド戦略そのものだと感じます。
観光・直売向け、市場出荷向け。
用途によって求められる特性は異なり、
次の品種には「おいしさ」だけでなく「どう売られ、どう使われるか」まで設計されています。
育種は畑の中の話でありながら、同時に経営の話でもある。
そんな視点を強く意識させられた講義でした。
イチゴは甘い。
でも、その裏側は驚くほどシビアで、長期戦。
だからこそ一粒一粒に、きちんと価値が積み重なっているのだと思います。
これからは、イチゴ売り場の前を手ぶらで歩くのが、なかなか難しくなりそうです。
